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大島弓子作品を購入する

学生の頃、大島弓子の作品を集めていました。
女性漫画家はあまり知らないのですが、この人と萩尾望都は知っていて、お二人とも尊敬する作家さんです。
まず、絵が当時としてはずば抜けて巧い。書き方もとても丁寧で、書き手の漫画に対する愛情が伝わって来ます。
で、ストーリーが秀逸。大島弓子は甘い恋の話が多いのですが、いつもどんでん返しが待ち構えていて、それが大抵の場合きれいに決まって、泣けるような感動を味わえます。
萩尾望都は、別格。絵も構成も話も、大きく飛び抜けていて、手塚治虫に匹敵すると思っています。
こういう人達の作品を、感性が錆つく前に読めた事にまずは感謝です。

 で、今回購入したのは大島弓子の『いちご物語』と『ダリアの帯』(白泉社文庫)。
『いちご物語』が書かれたのは、昭和50年頃。ラップランドか。
ちょうどニルスが放映されていた頃で、そういう事物を作品に取り入れるのが大島弓子らしい。
ラップランド出身の、右も左も分からない女の子が、日本に来て少しずつ周りの人達の心をつかんでいく話です。
ラスト近く、やっぱりどんでん返しにきれいに足を掬われた僕は、もううるうるするしかありませんでした。今回も、やられました。

 『ダイアの帯』は、6編の短編集で、いずれも最近の著作(といっても昭和60年頃)。
絵も今風になり、話もアップダウンの少ない、ちょっと大人向けになっています。このままビッグコミックに連載しても良いのでは、と思うくらいに。
僕としては、もっと、『銀の実食べた?』みたいな大甘の恋ばなとか、『ジョカへ』のような、読者を思いっきり振り回してくれる活劇(?)を期待していて、肩すかしを食ったのは否めないのですが、これはこれで面白かったです。
 収録作品『夢虫・未草』で、列車の音に5人でお茶を楽しむシーンが重ねて描かれてあったり、『ダリアの帯』ラスト近く、一郎が黄菜の本性に気づいた時、黄菜の上向きの指先からプクプクッとあぶくが立ち上っているみたいなイメージが描いてあったり、そういうところに僕は大島弓子らしさを感じてしまいます。時は過ぎても、感性はそのままなんだなって。

 昔持っていた本は、巻末に関係者のあとがきが載っていたと思うんですけど、違う出版社の本だったのかな。
今回買った白泉社の本には、あとがきが付いていませんでした。
萩尾望都が書いていたり、なぜか大島本人が書いていたりととても興味深かったんですけど、ね。

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2009年09月23日 14:01に投稿されたエントリーのページです。

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