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僕ら世代のガンプラとは

当時、僕は小学5年生くらいだったと思う。
この辺に住んでいたガキどもは皆、『太田模型』に、ガンプラを買いに行っていた。
前原商店街の東側の端、『どてやき』という最高に旨いホルモン屋さんの隣にある、小さな模型専門店。
確か決まった曜日にガンプラが入荷されるので、その日は行列まで作って開店を待っていたものだ。
田舎の常で、人気のあるモデルがたくさん入荷される訳ではない。僕らは日を重ね、少しずつ、コレクションを増やしていった。
そうやって、『待ち』を食って手に入れたコレクションは格別な愛着がわく。

で、ちょうどその頃、『模型とラジオ』とか、モデル系(もちろん模型ね)の雑誌でやたらとガンプラが特集され、モデラーがミリタリーモデルの手法をガンプラの世界に持ち込んで来て、それがやたらと格好良かった。

きれいに塗装をした上から、わざとすすけたように黒く汚す。面相筆につや消しの黒い塗料を少しだけ含ませて、プラモデルの角をグシャグシャっとこする訳です。すると、いかにも”使い込まれた兵器””今まで戦地で戦っていた”ような雰囲気が出せる。
あるいは、銀色の塗料で、グシャグシャっとやる。すると、実際の塗装がすり減って、下地の金属が露出したような風合いが出る。
ライターであぶって熱くなったクリップを、装甲部分に押し付ける。すると熱されて柔らかくなったプラスチックが少しめくれ上がって、あたかも銃弾を受けたような感じになる。
そうやってわざと汚したガンプラを、発泡スチロールで作った箱庭に数台配置して、ジオラマを作り上げる。
そうやって時間とお小遣いをかけて、ちょっとづつ知恵と技術、うんちくを身につけていったもんです。

これは今のガンプラ”ガンダム RX-78-2 Ver.2.0”の足部分。
あの白い装甲の下に、これだけのメカが内包されている。
足首はボールジョイントなので、全方位どんな角度にでも曲がる。足首前部とアキレス腱部分には、ダミーでサスペンションまで付いている。
足の甲は、指先部分、土踏まず部分、かかとの3カ所が曲がり、ちょうど陸上選手のクラウチングスタートのような足の恰好が無理無く出来る。
その分価格もそれなりで、一体3〜4千円する。300円で1/144を買いそろえていたあの頃とは、何もかもが違いすぎる。
その上、汚し、とか、スミ入れの技法が、インターネットで簡単にマスター出来る。

僕らのような、良く言えば子供の頃の夢を忘れられない、馬鹿な大人達にとっては良い時代になったもんだ。
お金をかけて、せわしく動いてあの頃作りたかった、模型雑誌に出て来るようなカッコいいガンダムが誰にでも作れてしまう。
ただ、焼きごてを押し付けて銃痕を演出したり、自分理論でコアファイター収納ギミックを作り込んでいたあの頃のワクワクハラハラ感が、ちっとばかり薄いなあ。

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2009年03月20日 21:56に投稿されたエントリーのページです。

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