大学の頃、僕はあるサークルに所属し、スポーツをやっていた。
うれしい事に、2年生のときに全国2位という実績を出し、さらに3年生になっても
2位という実績に甘んじることができた。
どんな競技もそうであるが、一回こっきりで好成績をたたき出すのはある意味簡単だ。
大切なのは、その実績をキープ出来るかどうかだ。だから、2回目の2位というのは
うれしかった。ひょっとして、実力があるのかな、とも思えた。
現状維持じゃねえか、という厳しい意見もあるかも知れないが、単純にうれしかった。
だが僕らが引退した次の年、後輩達は残念ながら優秀な成績を収めることが出来なかった。
僕は思い知らされた。彼らに何も伝えきれていなかったのだ。
翻っていえば、僕らの世代の好成績も、先輩方の教えのお陰に過ぎなかった。
たしかに僕らは努力をした。ただそれは、後輩達だって同じだ。しかし結果が違っていた。
違っていたのは、僕らの先輩が優秀だったにも関わらず、僕らが後輩達にとって
いい先輩ではなかったという事だったのだ。他に差は、何もない。
これに気付いたときの申し訳なさ、虚無感は今でも胸が痛むほど、大きい。
思えば、僕が後輩達に接する態度、心構えは、ここが原点になっているように思う。