« サントリー vs ルピシア | メイン | 風の丘でパンを買う »

好きなアーティストの事

少ない音楽体験の中から、これは!というものを書いてみる。

佐野元春『The Golden Ring』
心の兄貴・佐野元春のライブ盤。
デビュー以来の数限りない音源の中から、最高の音を出している曲を集め、編集している。
バックバンドは、初期〜中期のフルサポートを勤めたThe Heartland。
スタジオで奇麗に録られた音楽を楽しむのも良いが、ライブでこそ
真価を発揮する曲というものも存在する。
佐野元春の音楽は、意外かも知れないがまさにそういう音楽だ。
アツい、ひたすらにアツい。
声質のあんまり良くない佐野兄貴が振り絞るように歌うさまがまずアツい。
その歌も、愛や友情、心の持ちよう等ちょっとそのへんのなまっちょろいのが
口にしようものならたちまちダサク臭い内容なのだが、
佐野兄貴が口にすると、どうしてこんなに格好良くなるのだろうか。
これが人間の内容なんだな、と僕は納得しているし、こういう男になりたいと常に思っている。
くさい事を全力でやって、それがかっこいい、こういうのが本当にカッコいい男だ。
くさいくさいと、なんだか小馬鹿にしているようだが、そういうつもりはない。
むしろ歌詞は深淵で、僕なんかには理解が出来ないものが多い。
しかも現代芸術のようなワケワカランではなく、哲学的に深い。
聴く側の心の壁を軽々と飛び越えて踏み込んできて、心の奥底にしまい込んでいた
ピュアな感情、美しい人間の本性を引き出して、磨いてみせてくれる、そうとしか
表現が出来ない。だからじっくりと聴いてしまう。
アルバム自体は残念ながら絶盤みたいだ。いわゆる経済効率の問題だろうが、
いいものは永く残るようなシステムが出来ないものかな。

鈴木祥子『ある愛の詩(うた)』
知らない人はおそらく多いと思うが、日本の誇るシンガーソングライターのひとり。
他人に提供する曲目が多く、本人が露出する事はあまり無い。もったいない!
このアルバムは、構成が面白い。
1曲目〜ラストまでが、初々しい恋愛〜破局〜荒れた生活・でも人間鍛えてます
〜本当の愛に目覚める、という流れになっていて、聴き応えがある。
ラストが切なすぎる。相手を失って、初めて真実の愛に目覚めるという内容だろうか。
アルバムを通して、主人公の女性の真面目さ、適度なお茶目さ、気持ちの美しさが
語られているだけに、ラストの感慨は一層強くなる。
アルバムとしての完成度の高さに、脱帽する他ない。
鈴木祥子は、活動自体は20年近く、ベテランの一人だが、最近ようやくiTunesで取り扱われだした。
時代がようやく追いついた。

織田哲郎『いつかすべての閉ざされた扉が開くまで』
海、旅をテーマに作られたコンセプトアルバム。
数年前、近藤房之助(B.B.クイーンズのヒゲのおじさん、ね。本職は大阪在住のブルースシンガー)
とコラボでボンバーガールというスマッシュヒットがあったりで、
そこそこ名前は知られていると思う。
チューブやサザンみたいなノリノリの海もいいけど、ここで描かれている海は、そうじゃない。
とても静かで、そのうえ旅立ちの舞台という神聖な場所だ。
男の冒険心、どこかにふっと旅立ってみたくなる危うさ、海に対する憧憬がきっちり
表されている。
大学の頃にこのアルバムに出会い、アナログ盤ならとっくにすり切れているかと思うくらい
聴いた。

本、映画、そして音楽、旅行、ひょっとしたら漫画だって、魅せられるドラマを人に提供し、
生き方まで変えてくれる作品がこの世には存在する。
僕は貪欲だから、出来るだけ多くのドラマに触れたいし、見知らぬ体験をしてみたい。

え、漫画?「カムイ伝」で生き方変えられた。
武士道は死ぬ事と見つけたり?寝言こいてんじゃねえ。
刀を奪われ、まげをそり落とされ、ヒニン部落に住むことになったと嘆く侍にカムイが
「大事の前の小事。なにを泣く」と叱咤する。
馬糞食ってでも生きろ。たとえ死ぬほどの苦労があっても、生き抜かないと
志は果たせないじゃないか。

さて、本日のちょっといい風景。

100年前のロシアのカラー写真。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.wildleaf.org/mt/mt-tb.cgi/130

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年12月02日 09:08に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「サントリー vs ルピシア」です。

次の投稿は「風の丘でパンを買う」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34