赤塚不二夫、逝去
漫画家の赤塚不二夫氏が亡くなりました。
振り返れば、生まれて初めて買った(買ってもらった)漫画単行本が、
赤塚氏作の「天才バカボン」第6巻・KCコミックスだった。
7、8歳の頃だったと記憶している。
生まれてはじめて少年誌の漫画を見た僕は、一話一話にきちんとストーリーがあり、
言葉遊びや教育上よろしくないネタがぎっちりと盛り込まれていることに
ショックを受けたものだった。
漫画って、こんなに面白いものなのか!開眼した僕は、親父にせがみ、
バカボンはもちろん、ちび太やらメチャクチャNo.1などの赤塚作品を
ことごとく揃えた。
この人の作品の魅力は、ネタが非常にバカバカしくて、それが読んでいて
爽快感があったり、単純にワハハと笑えたりするところにあると思うのだが、
どこか作品中に漂うさみしさ、郷愁感、が味になっていたと思う。
これはおそらく作者本人も確信していて、バカボンの作品中に
ストーリーに全く関係がないのに時々織り込まれる「夜の犬」の大イラスト
がそうだ。
絵がうまい、ネタがうまい、きちんとプロフェッショナルに仕事をこなす
漫画家は、たくさんいる。しかし、赤塚氏や永井豪のように、
それ本作と全然関係なかろうもん、という部分にぐいぐいと入り込んでいく
(しかも本人も止められない)、振り幅の大きなタマシイをもった漫画家さんというのは
もう出てこないだろう。
思えば、いい時代に育ったものだ。