昔、サラ金の営業をやっていた。
商工ローンも扱っていて、だいたいうちみたいな会社に借りにくるのは、銀行に
見放されて、大手ローン会社に見放されて、もううちが駄目なら街金か日掛けか
てくらいのランクの、ぶっちゃげていえば「落伍者」一歩手前の人物だ。
ただそれでも、借りに来る。それは、本当に落伍したくないから。
しょぼかろうが、ささやかだろうが、いちるの夢を心に抱いているからだ。
だから、目線がまっすぐで、言葉に無駄がない。そんな連中が好きだった。
歴史に決して残る事のない、でも、僕の心の中にはしっかりと残っている
そんな怪人物達を、これから少しずつ紹介していこうと思う。
金の現場、第一線にいると、いろんなものが見えてくる。
そこで真っ正直にもがいて、身を沈めていった人達だ。